かわいいきみが悪いんだ

※タイトルは診断メーカーより

 

 実のところ、かわいいと言われるのはオレにとってそんなに新鮮なことじゃあない。
 ちょっと前──具体的に言うとおまえと付き合う前は、けっこう言われてたからな。歳上の綺麗なおねーさんたちに。
 おねだり上手でかわいい、気まぐれでかわいい、おいしそうに食べる姿がかわいい──エトセトラエトセトラ。
 オレは何も考えず普通にしてただけなんだけど、そうやって褒めそやされると悪い気はしなかった。そのうち味をしめて多少狙って振る舞ったりもしても、結局はかわいいと評されるから、女の子ってわからねーなあなんて思ったこともあったけど。
 結局彼女らは、ちょっと心にビビっときたら反射みたいに「かわいい」って言葉が出てくるようにできてるんだ。いいよな、女の子のそういうとこ。細かいとこにこだわらなくて、ストレートで。
 でもなあ、そんな彼女らも、オレの顔とか声については口を揃えて「かっこいい」って言ってくれたもんだぜ。
 おまえくらいのもんだよ、オレの容姿も声も内面も全部ひっくるめて、かわいいかわいいって猫かわいがりしてくるヤツなんて。
 まったく、どんなシュミしてんだか。おまえのことは好きだけど、おまえの審美眼は未だ理解しかねるぜ。
 おまえ、自分の見てくれのよさだって自覚してんだろ?
 まぶしい金髪も、同じ色したばさばさのまつげも、薔薇色のふっくらした唇も。宝石みたいな透き通った緑の瞳も、すっとまっすぐ通った鼻筋も、一点の曇りも見当たらない白い肌も。
「かわいい、ミスタ……」
 オレを見下ろして噛み締めるようにつぶやく、感極まったみたいな甘く掠れた声も。全部、オレにはないものだ。
 いや、今挙げたの全部「かわいい」の一言で片付ける気はないけどさあ。
 それでも、今こうしておまえに組み敷かれてるオレと比べてどっちがかわいいかっつったら、百人中百人全員が間違いなくおまえのほうだって言うだろうよ。
 まあ、おまえの審美眼がおかしいのはよくわかってるからな。
 百歩譲って、こんな男臭えやつでもおまえに限ってはかわいく見えるのかもなあって、無理やり納得してやってもいい。
 でもな、ジョルノ。

「覚悟してください。かわいいきみが悪いんですからね……」

 覚悟もクソも、どうしてオレが悪いってことになるんだよ! どう考えたって、悪いのはおまえだろうよ。意地もシュミも根性も、全部全部、絶対おまえのほうが悪い!
 おまえこそよー、覚悟しとけよ。あとでめいっぱい文句を言って論破してやるから。……起きてたら。覚えてたら!